2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

訪れ

訪れの 夢の小路を踏み行けば 人皆知らぬ黄昏の 棚引く影に暮れる街 声が行き交う露店屋で 小さな鳥がこう唄う 「お山を越えたらおっ母さん」 「お山越えたらお父っさん」 店屋の親父の滑々の その額に見惚れては 此の耳朶を抓る俺 あれは嘗て 水溜で砕けた…

流離

流されて 辿るがままに暮れる日の 雨に輪郭が緩む街 俯く人の傘は揺れ 平静の訪れ 濡れた足下に伏せた眼に 私を過る冷えた熱 戻らないもの程鮮やかなのは何故? 葉を撫でる風は地を目掛け 出口無き螺旋を描く 重ねた夢を捩り合い 燃え尽きた季節 壊れた約束…