2021-01-01から1年間の記事一覧

阿部芙蓉美の音楽について

阿部芙蓉美の音楽について。 阿部芙蓉美の音楽は、孤独をいつくしむ眼差しで溢れている。 本質的な相手の孤独を尊重して、自分の孤独を交えて互いを繋ぎ合おうとすることを諦めない強い意志も、彼女の音楽をすっくと貫いている。 では、彼女の音楽の魅力とは…

GRAPEVINE『アナザーワールド』について

ふと、GRAPEVINEの『アナザーワールド』を聴きたくなる時がある。 明日に進まなければならないのに、過去に呼び止められた雑踏で。 言葉にならない悲しみが、記憶に爪を立てる夜に。 人間と共に生きていくということは、誰にも言わぬと決心した瞬間を積み重…

GRAPEVINE『Gifted』について

GRAPEVINEの新曲、『Gifted』がリリースされた。 およそ二年ぶりの新曲、ほんとうに嬉しい。 直近のアルバム『ALL THE LIGHT』はとても清々しいサウンド、人生をこなしていく日常への、"愛ある眼差し"(バイン必須のワード、光、とも取れるか)を感じる作品…

怯懦の笑み

道の途上で会うという 判者を私は探してたけれど道は似たような顔ばかりで 彼等は怯えたように笑った不安定な勝敗を 横目で確認し合い 何時の間にかルールが決まってただけど勝者の笑みは道化のようで 敗者の涙が本当のようで私には見えなかった疑いは背き …

永訣

あなたと見てきた風景が 神様の吐息で空に散って 海風が街まで届く頃私は天使に呟いてみる世界から去った夜 初めて見る夢は 懐かしいさみしさで染めて私と選んだあの日々が 記憶の指に展かれて あなたが夢を纏う頃私は天使に頼んでみる世界に残された朝 泣き…

ヨルシカ『春泥棒』について

ヨルシカの新曲『春泥棒』がリリースされた。 “命を桜に喩えます。”という彼らの言葉は今の今だからこそ一層心を動かすのだと思う。 『春泥棒』という曲が揺さぶる思いを、自分なりの言葉で掬い上げてみたい。 冬が終わって命がうごめきだす春。そんな春を代…