揺曳

呼びかけて

折りたたんだその指が

夏の膚

遡るたび蘇る

夢の漣に震えてる

 

行きしなに

置き去りにした名が遠く

青い瞳の引力で

時を俄かに塗り潰す

 

去り際の

後ろ姿の静けさは

眼差しに棲む棘だった

 

風に

追憶は揺れ

影を追う記憶

 

眠れぬ夜の始まりの

その饒舌を塞ぐ腕